<   2016年 06月 ( 1 )   > この月の画像一覧

第七回 和食の薬味 Ⅱ


前回に引き続き、和食に欠かせない薬味の効能についてお知らせします。薬味は脇役的な存在ですが、私たちの健康にとても貢献しています。

薬味の効能

大根おろし
大根はビタミンCの含有量が高く、皮に近い部分ほど多く含まれています。ビタミンCには肌の状態を整えたり、肌のメラニン色素の生成を抑えたりする働きがあります。消化酵素ジアスターゼも多量に含まれているので、胃もたれや胸焼け、二日酔いに効果があります。また大根は食物繊維が豊富なので、腸内の老廃物を排出する効能があります。
大根はすりおろすと「イソチオシアネート」と呼ばれる成分が生成されます。これが大根おろしの辛味の主成分です。ワサビの辛味などと同じタイプの成分で、殺菌作用があり、免疫力を高めたり、ガン細胞を抑制したり、消化を促す効能があると言われています。ビタミンCや消化酵素ジアスターゼは熱に弱いので、大根おろしとして生で食べることにより、栄養素を壊さずに体内に取り入れることができます。皮を薄く剥いて直前にすりおろして食べるのが理想的です。

わさび
わさびには本わさび(日本原産わさび)と西洋わさび(ホースラッデッシュ)の2種類があります。本わさびは日本の山間清流に自生、あるいは冷涼な場所で栽培されます。西洋わさびはフィンランドや東ヨーロッパが原産地ですが、北海道のような涼しい地域で、昔海外からもたらされた西洋わさびが自生して山わさびと呼ばれています。本わさびは寿司や刺身に欠かすことのできない薬味として、また西洋わさび(ホースラディッシュ)はローストビーフなどの西洋の肉料理に添えられます。鼻にツーンと抜けるような辛味の成分は「アリルイソチオシアネート」という成分で、強い防腐作用や、食中毒を引き起こすO-157、腸炎ビブリオ菌、黄色ブドウ球菌などの増殖を抑える抗菌作用があります。また、ガン予防効果や血栓予防効果も知られています。さらに香味成分の効果で食欲を高め、消化を助けるという役割もあります。
生の本わさびの根茎に含まれるワサビスルフィニルという成分は、非常に強い抗酸化力があり、生活習慣病、老化防止、発ガン抑制作用があるとされています。西洋わさびにはワサビスルフィニルの成分はほとんど含まれていません。
私たちが普段利用している缶入り粉わさびやチューブ入り練りわさびは、緑色に着色された西洋わさびの粉末が使われていることが多いので、買うときには原材料の表示を確かめてください。

ごま(胡麻)
ごまには黒ごま、白ごま、金ごまなどの種類があります。栄養的にはどれもほぼ同じで、タンパク質、各種ビタミン、食物繊維が豊富に含まれています。またカルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルも豊富で骨粗しょう症の予防、貧血の改善に効果があります。さらに活性酸素の生成を抑え、肝臓機能を強化して細胞の老化やガン化を抑制する働きもあり、昔から不老長寿の食物として愛用されてきました。ごまに含まれる脂質にはリノール酸やオレイン酸といった血中コレステロールを下げる働きがある不飽和脂肪酸も含まれています。ただし成分の半分は脂質という性質上、美肌効果はあるものの、摂りすぎには気をつけましょう。ごまは硬い殻に覆われているため、そのまま摂取するとせっかくの栄養成分が吸収されずに排泄されてしまいます。すりつぶすなどして摂取されやすい形で食べるのが効果的です。
料理ではすりごまを使ったごま和えやふりかけ、ごま油として摂取できます。

ゆず(柚子)
ゆずの皮は乾燥させて七味唐辛子に加えられるなど、香辛料・薬味として知られています。生で薄切り又は千切りにしたものを、香りとして膾(なます)やサラダに散らしたりします。ゆずにはビタミンC、カルシウム、カリウム、鉄分、ミネラルなど豊富な栄養成分が含まれています。果実よりも皮の部分により多くの栄養が含まれ、ビタミンCはレモンの1.5倍、コラーゲンを生成する働きもあります。香りの精油部分には神経をリラックスさせる働きがあります。ゆず風呂など覚えていらっしゃるでしょうか。
生のゆずはスイスでは手に入りにくいですが、ゆずの加工品(ゆず酢、ゆず醤油、ゆずドレッシング、ゆずジュース、ゆずシロップなど)を利用することができます。

青ジソ
青ジソは古くから薬効があるとして重宝されてきた薬味で、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ミネラルなども豊富です。青ジソは鮮やかな緑色と爽やかな香りが食欲を増進させ、殺菌力と防腐作用もあるため、刺身などの生ものによく添えられます。細かく刻めばより殺菌効果が高まります。貧血予防、精神安定、ガンの予防にも効果があります。またシソには美肌効果もあると言われています。
シソはスイスで簡単には手に入りませんが、日本から種を取り寄せたりして、バルコニーのプランターで育てたり、庭に撒いて育てることもできます。シソは1年草です。

海苔
海苔は海藻を原料としているので、カルシウムやミネラルや食物繊維が豊富です。そのほかにも、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、タンパク質などがバランスよく含まれている優れた健康食品です。海苔の食物繊維には整腸作用があり、糖尿病や大腸ガンの予防にも効果的です。海苔のビタミンB1、B2は疲労回復に効果があり、鉄分は貧血予防、カルシウムは骨粗しょう症を防ぎます。さらに血液・血管の健康維持に重要なEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富です。海苔に含まれる成分タウリンは中性脂肪を減少させるなど生活習慣病の予防にも効果があります。海苔2枚で子供の1日のビタミン必要量をカバーすると言われています。これほどの栄養素がある海苔は、是非和食の食卓に取り入れたいものです。

次回は『アンチ・エイジング』をテーマに取り上げる予定です。
[PR]