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食用油シリーズ


第二回 食用油の種類 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

昨今よく飽和脂肪酸とか不飽和脂肪酸という言葉を耳にします。さて、これらの脂肪酸とはいったいどんなものなのでしょうか。

脂質の成分、脂肪酸にはいろいろな種類があります。その化学的構造、炭素と炭素の結びつきに「二重結合」と呼ばれる分子構造がないものを「飽和脂肪酸」、あるものを「不飽和脂肪酸」と呼んでいます。また不飽和脂肪酸は、「二重結合」が一つのものを「単価(又は一価)不飽和脂肪酸(オメガ9)」、二つ以上のものを「多価不飽和脂肪酸」と呼び、多価不飽和脂肪酸はさらに、「二重結合」の位置によって「n-6系多価脂肪酸(オメガ6)」と「n-3系多価脂肪酸(オメガ3)」に分類されます。

飽和脂肪酸


乳脂肪(バター)、豚の脂身(ラード)や牛の脂身(ヘッド)、脂身の多いばら肉や鶏皮などの動物性脂質や、ショートニングやマーガリン、そしてココナッツ油などの熱帯植物の油脂に多く含まれています。エネルギー源になったり、身体を作る大切な脂肪酸です。「二重結合」でないので化学的に安定しており、溶ける温度が高く常温では固体の状態です。そのため体の中で固まりやすく、血液の粘度を高めて血の流れを悪くし、血液を通じて細胞などに運ばれる酸素や栄養素が体に行き渡るのをさまたげます。また中性脂肪やコレステロールを増やす働きがあるので、動脈硬化の原因になります。ですから、飽和脂肪酸を摂りすぎると肥満や糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病につながり、心筋梗塞、脳梗塞などが起こりやすくなります。しかし逆に不足すると、血管がもろくなって脳出血などが起こりやすくなってしまいます。アメリカ心臓協会は、心臓病に対し飽和脂肪酸を摂り過ぎない健康な食事として、①肉は皮が取り除かれて脂肪の少ないものを選ぶ、②低脂肪の乳製品を選ぶ、③魚はn-3系多価脂肪酸が多く、心臓疾患のリスクを減らすので少なくとも週二回は食べる、④トランス脂肪酸(次回説明)が多い固形マーガリン、そして、フライドポテトなどの揚げ物をなるべく食べないようにする等の提案をしています。しかし、動物性脂肪を含む肉類を悪いものとして全く摂らないでいると、たんぱく質や鉄分、ビタミンの不足を招く恐れがあります。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸のバランスを考えた食事の仕方が必要です。

不飽和脂肪酸


炭素と炭素の結びつきに「二重結合」のある不飽和脂肪酸は化学的に不安定で、低い温度でも溶け、多くのものは常温で液体の状態です。主に植物油や魚の油に多く含まれています。

A)単価 (一価)不飽和脂肪酸 オメガ9 
飽和脂肪酸と同じように人間の体内で合成することができます。主な成分はオレイン酸で、オリーブ油、菜種油、品質改良でオレイン酸を多くしたひまわり油、ピーナッツ油、米ぬか油などの植物油に多く含まれますが、ヘッド(牛脂)やラード(豚脂)などの動物性の脂肪にも含まれています。オレイン酸は、酸化されにくいことから、発ガンの元とされる過酸化脂質を体内で作りにくいという特徴があります。加えて善玉コレステロールを減らすことなく(*オメガ6参照)、動脈硬化の原因になる悪玉コレステロールを減らすという働きもあります。酸化に強いので一般に加熱調理に適しています。

B)多価不飽和脂肪酸
体内で合成することができない必須脂肪酸ですから、食べ物から摂らなければなりません。
「多価不飽和脂肪酸」は酸化し易い性質をもつので、高温での加熱はしない、長時間空気にさらさない、光が当たらず低温な場所に保存する、そして新鮮なうちに食することが大切です。

B-1)オメガ6 「n-6系多価脂肪酸」
オメガ6の代表的脂肪酸はリノール酸です。コーン油、ひまわり油、紅花油(Distelöl)、大豆油、ゴマ油、くるみ油、アーモンド油など植物性油に多く含まれています。リノール酸は悪玉コレステロールLDL値を低くするとしてもてはやされていましたが、その後、血管などに蓄積されたコレステロールを回収する働きのある善玉コレステロールHDL値も同時に低くしてしまうことがわかり、問題にされています (*オメガ9参照)。また、体内でアラキドン酸になり、アレルギー症状を強めたり、体内ホルモンのバランスを崩して免疫の乱れや高血圧の原因になる恐れがあるので、摂り過ぎに注意しなければなりません。しかし、不足すると、感染しやすくなる、成長の遅れ、皮膚そして肝臓や腎臓のトラブルなどの原因になります。

B-2)オメガ3 「n-3系多価脂肪酸」
オメガ3の代表的な脂肪酸はα・リノレン酸です。体内に摂取されると「二重結合」を五つもつEPA(エイコサペンタエン酸)や、「二重結合」を六つもつDHA(ドコサヘキサエン酸)に変換されます。α・リノレン酸は亜麻仁油(Leinöl)などの植物性油脂に、そして、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸) は青魚に多く含まれています。イワシ(鰯:
Sardine) 、サンマ(Makrelenhecht)、さば(鯖:Makrele)、にしん(鯡:Hering)、さけ(鮭:Lachs)、クリルオイル(Krill Oil=南極オキアミ)などです。血液をサラサラにする、虚血性心疾患や高血圧、動脈硬化などを予防する、脳の栄養、神経組織の発育にかかわる、アレルギー症状を改善するなどの働きがあります。以上のことからオメガ6よりもオメガ3を多く摂ることが望ましいとされています。ちなみに、オメガ3とオメガ6の理想的な比率は2対1が良いと言われています。

以上、食用油を化学的構造から大別したものをお伝えしましたが、一種類の植物、魚、動物から採れる油でも色々な異なる脂肪酸が含まれているのが普通です。
植物油は体に良いと言われてきましたが、種類や抽出方法、調理法によっては健康に悪い影響を与えます。次回から色々な食用油の特徴、調理のコツ、保存法などについてお伝えしたいと思います。

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