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第8回 アンチエイジングと腸内細菌(3)





腸内環境を整える食事




最近よく雑誌やテレビで腸内環境を整えて若さを保つということが取り上げられています。腸内環境を整えるとは具体的にどういうことで、どんな効果があるのでしょうか。今回は特に食事について見ていきたいと思います。



私達の体は加齢と共に体力だけでなく、腸の働きも徐々に衰えてきます。腸の負担を軽くし腸内環境を理想的な状態に保つためには、毎日の食事に腸内の善玉菌が喜び悪玉菌の繁殖を抑える食品を取ることが大事です。これらの食品にはプロバイオティクスとプレバイオティクスという二つの食品グループがあります。



1)プロバイオティクス(生きた微生物を含む発酵食品):


乳酸菌、ビフィズス菌、納豆菌、麹菌などの菌類とそれを含む発酵食品のことで、腸内フローラのバランスを改善します。ヤクルト・ヨーグルト納豆味噌・キムチ・漬物・鰹節・かす漬け・イカの塩辛・くさや・酢・ザウアークラウト・チーズ・乾燥肉・生ハム・サラミなどがあります。



日本人には馴染みのある納豆、味噌などの発酵食品は、腸内環境を整える食品の筆頭に上がります。世界中で和食がブームですが、その素晴らしさが科学的に証明されていることも、その理由でしょう。発酵食品の良さは、乳酸菌や麹菌などの働きにより食材のタンパク質がうま味成分のアミノ酸等になり消化されやすいことです。



ヨーグルトのビフィズス菌や最近注目されているブルガリクス菌等の乳酸菌、漬物類などに含まれている酵素、そして麹菌などの有用菌を腸に直接届けると、善玉菌を支援し有害菌の活動を抑えることができると言われています。



ヨーグルトに含まれている菌にはいろいろな種類があり、身体に合わない場合は軽い下痢になったりするので、先ずは、自分の体に合うものかどうかいろいろと試食してみると良いでしょう。



2)プレバイオティクス(腸内にいる善玉菌を選択的に増やす植物性繊維やオリゴ糖などの食品成分):


腸内環境を改善し、腸機能を促進する食品成分のことで、植物性繊維を豊富に含む緑色野菜やキノコ、豆類をさします。代表的なものは、ブロッコリー・キャベツ・ホウレン草・大豆・平豆・小豆・シイタケ・玉ねぎ・ニンニク等です。



これらの植物繊維は胃では消化されず、大腸で細菌類により分解されます。腸内細菌全体の30%ほどが植物繊維を分解・消化して様々な有効成分を合成しています。そのため「生きた酵素」を取り入れられる野菜のスムージーやジュースが流行ってきています。できれば日々の食事に取り入れたいものです。



上記の2グループの食品を組み合わせて日々のメニューを作ると相乗効果が期待できます。


近年、スイスでも販売されている日本発の「ヤクルト」は正にその代表です。乳酸菌(1のグループ)とオリゴ糖(2のグループ)両方を含んでいて実に合理的に調合された飲み物と言えます。また、和食の「お浸し」等に「鰹節」や「ゴマ」を添えて「醤油」で味付けすると、植物繊維だけでなくビタミン類や酵素も丸ごと食することができます。つまり、プロバイオティクスとプレバイオティクスの食品双方を同時に取り込むことになります。



「お浸し」はありふれた和食の一品ですが、緑色野菜と発酵食品の融合で野菜のうま味を引き立たせ、かつ胃腸に優しい料理だと言えます。Cima di rapaという菜の花の若葉野菜をご存知でしょうか?この頃コープやミグロの野菜売り場で見かけるようになりました。これをお浸しにすると、とても美味しく頂けます。



又、昨今日本で流行っている麹ですが、麹水をご存知ですか。作り方はいたって簡単。乾燥米麹100gを瓶に入れて500ccのミネラルウォーターを注いで冷蔵庫に入れて8時間後に米麹を取り出して出来上がりです。この麹水は必ず3日以内で飲み切ること。又この水につけた米麹は3回使え、その後は袋などに入れてお風呂に入れると入浴剤として使えるそうです。乾燥米麹や液体塩麹はスイスにある「日本食品店うちとみ」や「西」でも買えます。洋食では、ザウアークラウトとチーズを使ったグラタンやヨーグルトと酢をベースとしたドレッシングでのサラダに玉ねぎやシャンピニオンやクルミ等を加えてはいかがでしょうか。



腸内環境が整っていると、様々な栄養素が体に必要なだけ取り入れられるので、体全体にエネルギーが満ちて元気になるだけでなく、若さを保つことにも繋がります。また、腸は自身の腸内環境を理想的なものにするために休むことなく働いています。私達はそのお手伝いをするだけで「健康」と「アンチエイジング」を手に入れることができるとしたら、素晴らしいことではないでしょうか。




次回も引き続きアンチエイジングをテーマにお知らせする予定で





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第7回 アンチエイジングと腸内細菌(2)


腸内環境≫


「腸活」「美腸」などの新しいことばに表現されているように、腸内環境が最近非常に注目されてきています。

全ての生き物にとって最も重要なのは、栄養を体内に取り込み生命を維持することです。ヒトが母親の胎内で受精卵から人間の形になっていく時に、最初に出来上がる器官は心臓でも脳でもなく消化管(胃腸)です。そして脳よりも先に作られる腸は「第二の脳」ともいわれるほど重要な器官であり、単なる消化器官としての働き以外にも実に様々な働きをしています。

小腸は食べ物の消化・吸収を担い、大腸は水分や電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンなど)を吸収し便を作ったりします。小腸にはウィルスや有害菌から身を守る免疫機能の60~70%が備わっていますが、大腸はその仕組みがかなり複雑で、その働きについては最近徐々に解明されつつあります。それと同時に、腸の働きは私たちの身体だけでなく情緒や心の健康にも大きく関わっていることが分かってきました。

腸は腸内に達した物質を感知し、有害なものを体外に排出するよう指示します。その際に起こるのが腹痛や下痢です。このように腸は脳のように自己判断し、速やかに処理する能力を持つ自立した器官で、他にもアレルギーや肥満、脳の働きなどにも関与しているようです。というのも、腸内にある腸管免疫系が脳に多くの情報を発信していることが分かってきているからです。また、肝臓や腎臓の機能が衰えてくると腸管免疫系が働き機能の回復をうながしたり、腸は内臓の健康を保つためにも大切な働きをしています。

そのように腸は最重要な器官ですが、それもひとえに腸内細菌(そう)との連係プレーあってのことだと言えるでしょう。その為には、腸内細菌それぞれが充分働けるより良い腸内環境を保つことが望まれます。

理想的な腸内環境は弱酸性で、いわゆる善玉菌(乳酸菌類等)と悪玉菌(ウェルシュ菌等)とそのどちらでもない日和見(ひよりみ)菌が2:7の割合で棲んでいる場合が良いと言われています。生活習慣やストレスにより腸内細菌のバランスが崩れると、多勢の日和見菌が<悪玉菌>に味方するので腸内環境が乱れ様々な弊害をもたらします。

ちなみに、腸内細菌叢の分布図は生後の一年間で決まるという研究発表があります。幼児はいろいろな物を手に取り口に入れますが、その時に入ってきた様々な菌が腸に棲みつくようになります。清潔すぎる環境に育った子供にアレルギーが多いというのも、そのあたりに原因があるようです。より多くの菌が腸内に棲みついている方が、健康を保つうえでの条件が良いようです。 

腸内環境を知るのに簡単な方法があります。毎日自分の「便」を観察することです。最も望ましい便の形はバナナ状で、黄色から黄土色をしていて悪臭がしません。そのような便が毎朝、無理なくスムーズに出るようなら、あなたの腸内環境は申し分ないものだと言えます。


すなわち、便は腸からあなたへの健康のメッセージなのです。 

以下のリストであなたの腸年齢をチェックしましょう。


□便秘ぎみ(または時々下痢をする)    □便は堅く、ストンと気持ちよくでない

□便の色が茶褐色や黒っぽい        □おならや排便後の臭いがきつい

□野菜が嫌い、あまり食べない       □肉食や外食が多い

□牛乳や乳製品が嫌い、ほとんど口にしない □運動不足である

□顔色が悪く肌につやがない、老けて見える □ストレスが多い

□飲酒量や喫煙量が多い


あなたにはいくつあてはまりましたか。


0個:  腸年齢は実年齢より若そう。今の生活を続けましょう

1~2個:腸年齢は実年齢と同じくらい。意識を高めれば、もっと若々しくなれそう

3~5個:腸年齢は若いとは言えません。食生活を改め、運動不足やストレス解消 を心がけて

6~8個:腸年齢は高め。生活習慣を改めないと、老化や体調不良を招く可能性も

9個以上:腸年齢は実年齢よりずっと高め


いかがでしたか?これを機会にアンチエイジングに必須の「美腸」作りに励んでみませんか。

尚、リストは辨野義己氏(農学博士、専門は腸内環境学と微生物分類学)監修のサイトから拝借したものです。

次回は腸内環境を整える食事や生活について考えたいと思います。


(注)読者の方から、先のスーパーフードの記事で、スーパーフードの摂取基準値が書かれてあれば良かったというご意見がありました。
スーパーフードは栄養価が非常に高い食品ですが、過剰に摂ると栄養過多になり健康を害します。特にサプリメントを 摂っている方は、過剰摂取、偏食に気をつけましょう。





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第六回 アンチエイジングと腸内細菌(1)


腸内細菌と聞くとアンチエイジングには関係ないように思われませんか。ところが最近の研究で腸内細菌の働きが多岐に亘り、私たちの健康に関与していることが分かってきました。腸内細菌は食物の消化吸収だけでなく、免疫やアレルギー、そして美肌にも影響を与えます。まさに腸はアンチエイジング対策への重要な臓器として注目され始めています。

腸にはこれまで解明されているもので500種以上の細菌類が棲み、その数は100兆個と言われていましたが、今では1000種の細菌類が9000兆個もあるというデーターが出ているほど膨大なものです。その多くが大腸に棲み、小腸にはおよそ1000万個が棲んでいると言われています。腸壁にびっしりと棲みついている細菌類を見ると、その様子が花畑さながらであることから「腸内細菌フローラ」とも呼ばれています。フローラと呼ばれている腸内細菌達は常にせめぎ合い、「勢力争い」をしながら実に様々な働きをして私たちの健康に貢献しています。

その働きとして

 1.食べ物の消化と分解を助ける

 2.腸の蠕動運動を促進させ、便通を良くし脂肪の吸収を抑える

 3.さまざまな酵素を分泌し、代謝や消化吸収を促進する

 4.代謝成分を「えさ」として取り入れリサイクルする

 5.便の形成(便の約80%は細菌類の死骸)

 6.有害物質の解毒作用を助ける

 7.ビタミン類やホルモンを合成する

 8.必須アミノ酸を合成する

 9.免疫機能を維持し活性化する

等々が挙げられます。つまり、腸内細菌は食べ物の消化や分解を助けるだけでなく、ビタミンやホルモンを合成したり、免疫機能を維持し活性化するなど私たちの健康にとても有益な働きをしているのが分かります。腸内細菌が合成するビタミン類にはビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、ビオチン、葉酸、ビタミンK、パントテン酸があります。これらビタミンB群は神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンの合成に欠かせないとても重要なビタミンです。また細胞の代謝やタンパク質を作るためにも必要なことから、アンチエイジングへの働きが期待できます。

さて、セロトニンは、アンチエイジングに欠かせない神経伝達物質の一つです。セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれ、その90%近くが小腸などの消化管に分布しています。「喜びや快楽」を司るドーパミン、「恐怖や興奮」を司るノルアドレナリンなどの働きをコントロールし、ストレスに強く、安定した精神状態を作り出すので、幸せが感じやすくなるなどの働きがあります。また脳内で記憶や学習に関する働きをする海馬への作用があり、仕事や勉強、記憶力をサポートします。その他セロトニンには抗重力筋という筋肉を強化する働きがあります。抗重力筋とは、姿勢を支える筋肉で背中や腰、お尻など様々な部分にある筋肉です。また、顔では目の周りや頬にある筋肉もその一つです。セロトニンが抗重力筋を強くすることで背筋の伸びた姿勢を保ち、顔のたるみを予防するアンチエイジング効果が期待できます。セロトニンが不足するとうつ病や情緒不安定、不眠または過眠、原因不明の体調不良、太りやすくなる、心身共に疲労が蓄積していくため老けやすくなる、など様々な症状が現れます。

ところで、気分調整やアンチエイジングには欠かせないセロトニンは、日常生活の中でもちょっとした心がけでその分泌量を増やすことができるのをご存知でしょうか。

1. 太陽の光をよく浴びる 

2. 生活のリズムを整える

3. 栄養バランスのとれた食事をする。中でもセロトニンを作る材料となる必須アミノ酸の一種「トリプトファン」や分泌を促すビタミンB6を多く含む食品をとる

(赤身の魚、バナナ、チーズ等の乳製品、ナッツ類、豆腐などの大豆食品、キャベツ等)

4. 発酵食品、海藻類などを多くとり腸内環境を整える

5. リズム運動、ウォーキング、散歩、水泳などの有酸素運動を楽しんで続ける

(競技性の高い運動はかえって脳が疲弊してしまうのであまり向いていない)

6. よく笑う!よくしゃべる!好きなことをする!スキンシップで安心感を得る!

(セロトニン神経が活性化する)

7. ときめきを増やす(好きな映画、趣味をする、素敵なお花を飾る等)

8. 深呼吸をする

9. 首のストレッチ(首を前後左右にゆっくり動かすと、脳の「ほうせん核」が刺激されセロトニンの分泌が促される)

いかがでしょうか、今からすぐにでも出来そうなものばかりですね。

次回のテーマは引き続き「アンチエイジングと腸内細菌(2)」で『腸内環境』についてまとめてみます。



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第五回 スーパーフード(3)



スーパーフードの最終回です。スーパーフードは活性酸素の悪影響を抑制してくれる抗酸化物質を大量に含むと言われ、アンチエイジング対策、健康保持に最適です。



11.バナナ


一年中手軽に食べられる抗酸化成分を多く含むフルーツと言えば「バナナ」です。具体的にはβカロチン(βカロテン)、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール類などの成分を含み、細胞の劣化・老化を予防してアンチエイジングに役立ちます。またカリウムが豊富で、血圧を上昇させるナトリウム(塩分)を尿中に排泄する働きがあり、むくみの解消につながるだけでなく、高血圧・動脈硬化・脳梗塞などの生活習慣病の予防が期待されます。骨や歯の形成を助けるマグネシウムも豊富で、骨粗鬆症の予防に効果があります。更にバナナには2種類の食物繊維が含まれていて、整腸作用があり便秘解消に役立ちます。


バナナはその熟度によって効能が変わります。青めのバナナは整腸効果があり、黄色のバナナは美肌・アンチエイジング効果、更に完熟して茶色い斑点のあるバナナは、免疫機能を強化し胃潰瘍の抑制効果もあると言われています。



12.チアシード(チア種子、ドイツ語で Chiasamen


チアシードは、メキシコからグアテマラが原産のシソ科の植物チアの種です。古代マヤ民族の言葉でチアは「力」を意味し、その時代からパワー食として食されてきました。栄養成分の含有量は圧倒的に高く、タンパク質、ミネラル(カルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉄分など)、ビタミン類、オメガ3脂肪酸(αリノレン酸)、9種類の必須アミノ酸、食物繊維などが豊富に含まれています。これらの栄養素により、生活習慣病の予防、抗酸化作用、ガンの予防、美肌・アンチエイジング効果、うつ症状の予防・軽減、アレルギー症状の改善などの効果が期待できます。


チアシードは水やミルクなどで戻して食べます。水で戻すと10くらいに膨れます。その時にチアシードの周りにできたゼリー上のものはこんにゃくにも含まれている「グルコマンナン」という食物繊維で、便秘予防、ダイエット効果もあります。


:チアシードは水分を吸収して膨張する性格があるため、十分な水分と一緒に摂るよう、包装パックに記載されています。また欧州連合内では新規食品としてのEU規則により、1日分の摂取量は15g(約大さじ1杯)までと決められていますので摂り過ぎに注意が必要です。)



13.アーモンド、クルミなどのナッツ類


アーモンドは、ビタミンEとポリフェノールが豊富な上、オレイン酸の含有量が70%と高く、アンチエイジングに欠かせない食品といえます。特にオレイン酸はコレステロールを減らす作用がある不飽和脂肪酸の中でも最も安定した脂肪酸であるため、食べても脂肪がつきにくいと言われています。スイーツやおつまみとして食することで健康を維持することができます。


クルミは抗酸化作用が強いと言われているナッツ類の中でも、とりわけ抗酸化物質とオメガ3脂肪酸を豊富に含んでいます。特にαリノレン酸は血液をサラサラにする働きがあり、結果として高血圧や動脈硬化、血栓を予防・改善します。心臓や脳に良いだけでなく、美容やアンチエイジングにも重要な栄養素です。


毎日一握りのナッツ類を食べることは寿命を延ばす効果があり、またガンのような命に関わる病気で死亡するリスクが低いとも言われています。



和食のスーパーフード


1. 納豆


納豆は日本の伝統的食品で、柔らかく煮た大豆に納豆菌を繁殖させて作ります。原材料の大豆が持つ豊富なアミノ酸や、大豆イソフラボン、大豆サポニン、ビタミン、ミネラルが豊富な上に、納豆菌の発酵過程でビタミンB群やビタミンK2などがプラスされて素晴らしい健康食品となります。それが医学的に実証されたのは、1980年代に納豆菌(ナットウキナーゼ)という酵素に血栓を溶解する効果があることが発見されてからです。ナットウキナーゼには血栓融解作用だけでなく、血液をサラサラにして流れを良くする効果があり、また腸内の善玉菌を増やし悪玉菌を減らす整腸作用もあります。納豆菌はカルシウムの吸収に必要な「ビタミンK2」を作るため、納豆を日頃食べていると骨粗鬆症を防ぐことができます。他にも美容ビタミンと言われるビタミンB2とビタミンEも含み、老化を防ぎ若返りに貢献してくれます。まさに世界に誇る日本の健康食品といっても過言ではありません。



2. 味噌


味噌は大豆を発酵させて作りますが、発酵することで大豆に含まれる少量のアミノ酸やビタミン類が増えるだけでなく、発酵前にはなかった様々な栄養成分も作られます。


味噌に含まれる栄養素には、タンパク質、イソフラボン、ビタミンE、ビタミンB、ミネラル、ペプチド、サポニン、酵素、食物繊維、リノール酸などがあります。ビタミンは全般的に美容にいいと言われていますが、その中でも特にビタミンEはアンチエイジングビタミンと言われ、体の老化につながる細胞の酸化を予防してくれます。また血管の健康を保ち動脈硬化などの病気を予防する働きもあります。イソフラボンは女性ホルモンのエストラゲンに似た働きがあると言われていますが、女性ホルモンの活性を高め美容に効果のある成分として昔から注目されています。サポニンとリノール酸は血中コレストロールの上昇を抑制する効果で知られ、リノール酸はまた美肌効果も期待できます。


味噌や納豆をはじめとした大豆の発酵食品は、タンパク質が吸収しやすい形になっていて、世界でも長寿食として研究が進められ注目されています。



3. 緑茶 


緑茶は昔、漢方薬として中国から持ち込まれたのが始まりで、古くからその薬効の高さは注目されています。緑茶の持つ渋み、苦味は、ポリフェノールの一種の茶カテキンのせいで、このカテキンに健康に優れた様々な成分が含まれています。まず殺菌作用に優れ、インフルエンザ菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、ピロリ菌や大腸菌O157などの有害な菌に対して殺菌力を発揮し、食中毒の予防になります。また虫歯菌にも効果があります。日本では食事中や食後によくお茶を飲みますが、それは理にかなっていると言えます。このほか体脂肪や血中コレステロールを低下させ、血糖値上昇を抑える効果もあり、動脈硬化、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の予防につながります。また強い抗酸化作用により老化を遅らせ、ガンの発生を抑えるという報告もあります。緑茶にはカテキンの他にもビタミン類も豊富で、これらの効能をさらに強力にします。まさに緑茶はスーパードリンクというにふさわしい飲み物です。



スーパーフードはこのほかにもまだいろいろあります。関心のある方はネットなどで更に検索されたらいかがでしょうか。


次回はアンチエイジングシリーズの「腸内環境」についてお知らせしたいと思います。




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第四回 スーパーフード(2)

先回に引き続きスーパーフードについてお伝えします。スーパーフードは活性酸素の悪影響を抑制してくれる抗酸化物質を大量に含むと言われ、アンチエイジング対策に最適です。


5. 穀物(大麦、小麦など)の若葉 (Getreidegrass)から作った青汁

穀物の若葉は、海藻や野生の薬草と同様にクロロフィル(葉緑素)が最も含まれている植物です。若葉を絞った青汁の状態が一番栄養があります。青汁の成分の70%はクロロフィルで、私たちの血液に十分の酸素を供給します。そのほかミネラル、鉄や亜鉛、カルシウムなど、日々の生活に欠かせない大事な無機質がバランスよく摂取でき、貧血予防も期待できます。ビタミン類やコラーゲンの生成を促進するビタミンCも豊富ですので、骨や皮膚を丈夫にすることができます。また身体の中でビタミンAに変わるβカロチン(βカロテン)を含んでいますので、ウイルスなどに対する免疫力を高めてくれます。そのほかの大事な栄養素として抗酸化作用のあるSOD酵素と呼ばれるものがあります。あまり聞きなれない栄養素ですが、動脈硬化や高血圧・糖尿病などの生活習慣病全般、さらに肌の新陳代謝を促し、シミやそばかすなどの肌のトラブルまで改善してくれる重要な酵素です。このように非常に優れたSOD酵素ですが、あまり話題にならないのは、通常の食事から摂取することが難しく、青汁などからしか摂取できないという理由によります。活性酸素を中性化するSOD酵素は体内でも作られますが微量であるため、青汁かサプリメントから取り入れるしかないようです。現代人に不足しがちなミネラルやビタミンを補い、若々しい身体を維持するのに大いに役立ちます。自分で家庭栽培することもできますが、リフォームハウスなどで穀物の若葉を粉末状にしたものを購入するのが一番容易な方法でしょう。ティースプーン一杯ほどを水で溶いて噛むようにして飲みます。


6. 緑色野菜(ブロッコリー、ほうれん草、チリメンキャベツなど)

緑色野菜は穀物の若葉のようにクロロフィルが豊富で、緑色が濃いほどクロロフィルの含有量が高くなります。

ブロッコリーやほうれん草はビタミン類、ミネラル類をまんべんなく含む栄養満点の野菜です。特に多く含まれるβカロチンは、皮膚や粘膜の健康を保つほか抗酸化作用も強く、細胞の老化を防ぐ効果があります。スルフォラファンという物質を含んでいて発ガン性物質や活性酸素を排出する働きがあり、ガン予防に効果的です。マグネシウムの含有量が高くストレスにも効果を表します。ビタミンCの含有量はレモンの2倍以上で、風邪などに対して抵抗力をつけます。また鉄分、ビタミンB類、カルシウムそして葉酸(Folsäure)が豊富なためベジタリアンにも最適な食品です。さらにルテイン、ゼアサンティンが含まれ、私たちの肌や目を紫外線と酸化から守ります。

最近スーパーフードとして注目され始めたチリメンキャベツ(Federkohl/Grünkohl)はケルセチンという抗酸化成分を大量に含み、ORAC値(活性酸素を除去する力を測る数値)が非常に強く、アンチエイジング対策に適しています。ビタミンA、ビタミンB類が豊富で、さらに少量でビタミンCの1日の必要摂取量をカバーします。また丈夫な骨を作るビタミンKとカルシウムを大量に含むため骨粗鬆症の予防に最適な栄養素です。


7. 赤色野菜

赤色食品の人参とかぼちゃはカロチンを、トマトはリコピン、ナスはアントシアニンと色の濃い野菜には様々な抗酸化成分が含まれていて、活性酸素を除去する力に優れています。これらの成分は眼病やガンなどの生活習慣病の予防にも効果的な栄養素として知られています。


8. アサイベリー

ブラジルのアマゾンの山奥に自生するヤシ科の実で、原住民が大昔から薬代わりに利用していた果実です。ORAC数値は果物の中で一番高いと言われていますが、それは濃い紫色の実の色素の元になっているアントシアニン(ポリフェノール)が大量に含まれているからです。アントシアニンは強い抗酸化効果があり、また目の疲れを癒し、視力を改善する効能があるとされています。そのほか心臓によく、コレストロール値を下げる働きがあり、炎症やガン予防にも期待できます。そのほか、19のアミノ酸、豊富なミネラル類、ビタミン類などのほか、必須脂肪酸、不飽和脂肪酸など豊富な栄養素が詰まっていて、まさに「奇跡の果実」と呼ばれるスーパーフードです。


9. アロニアベリー(Aronia berry/Aroniabeere

遠い異国にスーパーフードを求めなくても地元にも同じような栄養価が非常に高い果実があります。アロニアベリーはロシアでは19世紀から栽培され、昔から医薬的な効能が証明されて粉末として医薬処方されています。スイスでも特に東スイスで栽培されています。黒と赤色の果実があり、黒の方が栄養価が高いです。アントシアニンの働きで、眼精疲労の回復や血液循環促進、高血圧予防に効果があると言われています。抗酸化性が高く、老化防止やガンなどの生活習慣病の予防に期待できます。ビタミン類、ミネラル類も豊富で、体の抵抗力をつけ筋肉や骨を強くします。日本でも最近新薬開発に用いられているようです。そのまま食するには苦くて酸っぱ過ぎるため、粉末状のものをミューズリに入れるか、ジャムのように甘みを加えて食べます。最近、コープで乾燥させたアロニアベリーも出ました(スイス産、有機栽培のNaturaplan)。干しベリーは酸味も苦味もそれほどなく、一日の目安は1020粒程度です。


10.ヒッポファエ(サジー)ベリー(ドイツ語でSanddornbeere

サジーベリーはグミ科の朱色/黄色の果実で、原産地はアジアですが、ヨーロッパでも特に東欧・ドイツで生育します。ビタミンCの含有量はレモンの5倍以上で、1日わずかの量を摂取するだけで、風邪などの感染に対して免疫力をつけ、弱った体の抵抗力を高めます。ミネラル類、ビタミン類、葉酸、鉄分、不飽和脂肪酸など多くの栄養素を含んでいて、活性酸素を除去し、目や皮膚の健康維持、美白効果、生活習慣病の予防などに効果がある万能な果実です。アロニアベリーと同じく酸味が強いため、粉末にしてミューズリに混ぜたり、薄めてお茶やジュースとして飲みます。リフォームハウスのほか、コープやミグロではSanddornsirup(シロップ)が販売されています。またSanddornmarkSanddornの果肉に砂糖を加味)もあり、ジャムや蜂蜜のコーナーで販売されています。ヨーグルトやミューズリに1さじ加えると美味しいです。



次回は「スーパーフード」の最終回、和食のスーパーフードについてもお知らせする予定です。


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第二回 老化のメカニズム


 老化とは、「生」から「死」へのプロセスに伴い生じる生理機能の低下のことをいいます。そのプロセスの進行には遺伝子、水や空気などの住環境、食生活や生活環境、また、生活パターンや個人差も影響していると考えられています。これまでの学説や研究結果によれば、そのいずれにも活性酸素が関わっている可能性があるということが判ってきました。

 活性酸素は、呼吸を通した代謝の副産物として体内に自然に発生します。またストレス、喫煙、激しい運動、大気汚染、紫外線や放射線などの外的要因によっても発生します。活性酸素は体内に侵入した異物や細菌類を駆除するという働きがあり、私たちの体にとって有益かつ必要なものです。しかし体内に必要以上の活性酸素が発生すると、体全体の細胞にダメージを与えるようになります。普通は体内で合成される抗酸化酵素により、余分な活性酸素は無害な物質へと分解されます。また抗酸化物質を含む食品(最近注目されているスーパーフード等)を取ることでも中性化されます。誰にでも加齢とともに、抵抗力の減退、体力や気力の衰え、視力の低下、皺やシミの発生、白髪になる、記憶力の低下などの老化現象が現れます。しかし体内の浄化作用を上回る活性酸素が長期間に亘って発生し続けると、老化のプロセスが早まり、成人病や生活習慣病などが顕著となり、老人病や認知症にかかりやすくなります。

 では老化を止めることは出来るのでしょうか?

 老化は自然の摂理であり、それを止めることはできません。しかし老化のプロセスを遅らせることは可能です。

 例えば、ジョギングなどの多量の活性酸素が発生する激しい運動の代わりに、速足のウォーキングや散歩、ハイキングのような軽い運動、あるいはヨガのようなゆったりとしたポーズやストレッチをすることがお勧めです。これらの運動は自律神経やホルモンのバランスを正常化させ、免疫機能を活発にし、血行やリンパの流れの改善を図り、老化現象にブレーキをかけることができます。その際に太陽光を浴びることは、体内でビタミンDが合成されるうえに幸福ホルモンであるセレトニンが分泌され気分や気持ちが良くなることから、心のケアにも繋がり一石二鳥といえます。ただし、紫外線は肌の老化現象の主な原因となるため、UV-カットの手当をすることも大切です。

 現代社会はストレスに満ち溢れています。職場だけでなく私生活においても、仕事や人間関係のストレスに晒されています。便利なはずのインターネットなどの情報交換技術は即対応しなければならず、それもストレスの原因になります。その結果、昨今「バーンアウト症候群」や「鬱」等のストレスからくる心の病が増えてきています。

 過度のストレスは老化現象を早めます。そういったストレスの解消策として、休暇をとってのんびりしたり、好きなことをして心身をリラックスさせるなど、日常生活からの一時的な解放が挙げられます。その解消法は人さまざまですが、各自ができる範囲で「自分だけの時間や家族との時間」を持ち、体や心を大切にして楽しみながら生活することがストレスを乗り切る方法と言えます。

 「老化」からは誰も逃げることができません。しかし「美しく歳をとる」ことは努力次第とも言えそうです。心身ともに年齢にあった豊かな生活をし、「生きがい・やりがい」を見出して、生き生きとした日常生活を創造することがアンチエイジングに繋がると言えましょう。


次回は老化予防にも効果がありそうなスーパーフードについてまとめます


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第一回 アンチエイジングの意味と歴史


全ての生命体は「誕生」と同時に「老化」への道を歩み始めます。そして自然の摂理である老化のプロセスを止めることはできません。「いつまでも若くいたい」と願うのは洋の東西を問わず、あるいは男女を問わず、多くの人にとって当然のことでしょう。今回から数回に分けて老化現象とアンチエイジングについてお知らせしていきます。きっとお役に立つ部分が見つかることと思います。

アンチエイジングの意味

エイジングとは年齢を重ねることですが、それに抵抗(アンチ)するという意味合いでアンチエイジングという言葉が生まれました。美容や健康の面で注目され始めた概念で、老化の原因の抑制、心身機能の衰えを予防・改善することを意味しています。

アンチエイジングの歴史

 歴史を遡れば、絶世の美貌を誇りその美貌を保つ為に、当時の富と権力を駆使して様々な健康法を追求し実践していた、何人かの歴史上の女性たちの存在に気づかされます。その健康法や美容法は果たしてどんなものだったのでしょうか。

 クレオパトラ(紀元前69‐30)は、真珠を酢に溶かして飲用し、蜂蜜やアロエを日常的に使い、ロバのミルク風呂や死海の塩を入れたお風呂に入っていたという記録があります。寝室にはバラの花を敷き詰め、バラの香料や香油をふんだんに使っていたそうです。

 楊貴妃(719‐756)は玄宗皇帝に「ライチ」や「氷」を遥か遠方から長安まで取り寄せさせたことで知られています。薬膳に力をいれ、古くから「生命と健康の穀物」と呼ばれて重宝されてきた「ハト麦」等を欠かさなかったと伝えられています。また、白キクラゲ、とろけるほど柔らかく煮た鶏肉、燕の巣を常食としていました。

 一方、夫の皇帝と息子の代わりに男勝りの政治をしたことで有名な西太后(1835‐1902)は、若さを保つ為に好物の「クルミ汁」、ロバのニカワ「アキョウ」(別名、和漢コラーゲン)、「豚の丸焼きの皮」の他、日々の食事には100種の料理を作らせていたということです。肌にトラブルが多かったことから「永遠の若さ」を追求し続け、「玉溶散」という雀の尿と雄の鷹と雄の鳩の糞で作られた化粧品を愛用し、宝石でできた「美顔ローラー」を使用していたそうです。この「玉溶散」の成分は「鶯の糞」にもあり、日本では江戸時代頃からを美顔術の一つとして芸者や歌舞伎役者の間で使われていたと言われています。

 その西太后と同じ時代に生きたオーストリア・ハンガリー帝国の皇后エリザベート(1837- 1889 )は、当時のヨーロッパで最も美しい女性として知られていました。子牛の生肉から絞り出したエキスを飲用したり、薄切りの生肉でパックをするなど独特の美容法を実践していたそうです。しかし前述の3名の食事と比較すると、エリザベートの食事はオレンジジュース、ミルク、ブイヨン、塩で味付けした卵白等でダイエットに近いものだったようです。

 平安時代の女流歌人として名の知れた小野小町(825-900)は山芋入りの麦粥、蜂蜜、鰻や鯉料理を好んで食したそうです。「温泉」が好きで、入浴後はへちま水を化粧水として使い、米ぬかや小豆粉をクリーム状にして肌に塗布していたと言われています。


 「美貌を保ちたい」「健康でいたい」という一念から始められた健康法・アンチエイジングは古の時代から今に続き、その多くが現在エステなどの施術や食膳としてより一般化しています。
 このように、かつては王族・貴族などの特権階級だけに可能であったアンチエイジングですが、現在では社会全体が豊かになってきたこともあり、一般の人たちにも手が届くものとなりました。また社会全体が高齢化社会になってきたことも一因です。同時に医学やライフサイエンスの進歩により老化についての研究が進み、新しい知識が一般の人にも手に入り、努力すれば誰にでも効果が出る時代になりました。

次回は「老化現象」のメカニズムについてお知らせします。
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第七回 和食の薬味 Ⅱ


前回に引き続き、和食に欠かせない薬味の効能についてお知らせします。薬味は脇役的な存在ですが、私たちの健康にとても貢献しています。

薬味の効能

大根おろし
大根はビタミンCの含有量が高く、皮に近い部分ほど多く含まれています。ビタミンCには肌の状態を整えたり、肌のメラニン色素の生成を抑えたりする働きがあります。消化酵素ジアスターゼも多量に含まれているので、胃もたれや胸焼け、二日酔いに効果があります。また大根は食物繊維が豊富なので、腸内の老廃物を排出する効能があります。
大根はすりおろすと「イソチオシアネート」と呼ばれる成分が生成されます。これが大根おろしの辛味の主成分です。ワサビの辛味などと同じタイプの成分で、殺菌作用があり、免疫力を高めたり、ガン細胞を抑制したり、消化を促す効能があると言われています。ビタミンCや消化酵素ジアスターゼは熱に弱いので、大根おろしとして生で食べることにより、栄養素を壊さずに体内に取り入れることができます。皮を薄く剥いて直前にすりおろして食べるのが理想的です。

わさび
わさびには本わさび(日本原産わさび)と西洋わさび(ホースラッデッシュ)の2種類があります。本わさびは日本の山間清流に自生、あるいは冷涼な場所で栽培されます。西洋わさびはフィンランドや東ヨーロッパが原産地ですが、北海道のような涼しい地域で、昔海外からもたらされた西洋わさびが自生して山わさびと呼ばれています。本わさびは寿司や刺身に欠かすことのできない薬味として、また西洋わさび(ホースラディッシュ)はローストビーフなどの西洋の肉料理に添えられます。鼻にツーンと抜けるような辛味の成分は「アリルイソチオシアネート」という成分で、強い防腐作用や、食中毒を引き起こすO-157、腸炎ビブリオ菌、黄色ブドウ球菌などの増殖を抑える抗菌作用があります。また、ガン予防効果や血栓予防効果も知られています。さらに香味成分の効果で食欲を高め、消化を助けるという役割もあります。
生の本わさびの根茎に含まれるワサビスルフィニルという成分は、非常に強い抗酸化力があり、生活習慣病、老化防止、発ガン抑制作用があるとされています。西洋わさびにはワサビスルフィニルの成分はほとんど含まれていません。
私たちが普段利用している缶入り粉わさびやチューブ入り練りわさびは、緑色に着色された西洋わさびの粉末が使われていることが多いので、買うときには原材料の表示を確かめてください。

ごま(胡麻)
ごまには黒ごま、白ごま、金ごまなどの種類があります。栄養的にはどれもほぼ同じで、タンパク質、各種ビタミン、食物繊維が豊富に含まれています。またカルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルも豊富で骨粗しょう症の予防、貧血の改善に効果があります。さらに活性酸素の生成を抑え、肝臓機能を強化して細胞の老化やガン化を抑制する働きもあり、昔から不老長寿の食物として愛用されてきました。ごまに含まれる脂質にはリノール酸やオレイン酸といった血中コレステロールを下げる働きがある不飽和脂肪酸も含まれています。ただし成分の半分は脂質という性質上、美肌効果はあるものの、摂りすぎには気をつけましょう。ごまは硬い殻に覆われているため、そのまま摂取するとせっかくの栄養成分が吸収されずに排泄されてしまいます。すりつぶすなどして摂取されやすい形で食べるのが効果的です。
料理ではすりごまを使ったごま和えやふりかけ、ごま油として摂取できます。

ゆず(柚子)
ゆずの皮は乾燥させて七味唐辛子に加えられるなど、香辛料・薬味として知られています。生で薄切り又は千切りにしたものを、香りとして膾(なます)やサラダに散らしたりします。ゆずにはビタミンC、カルシウム、カリウム、鉄分、ミネラルなど豊富な栄養成分が含まれています。果実よりも皮の部分により多くの栄養が含まれ、ビタミンCはレモンの1.5倍、コラーゲンを生成する働きもあります。香りの精油部分には神経をリラックスさせる働きがあります。ゆず風呂など覚えていらっしゃるでしょうか。
生のゆずはスイスでは手に入りにくいですが、ゆずの加工品(ゆず酢、ゆず醤油、ゆずドレッシング、ゆずジュース、ゆずシロップなど)を利用することができます。

青ジソ
青ジソは古くから薬効があるとして重宝されてきた薬味で、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ミネラルなども豊富です。青ジソは鮮やかな緑色と爽やかな香りが食欲を増進させ、殺菌力と防腐作用もあるため、刺身などの生ものによく添えられます。細かく刻めばより殺菌効果が高まります。貧血予防、精神安定、ガンの予防にも効果があります。またシソには美肌効果もあると言われています。
シソはスイスで簡単には手に入りませんが、日本から種を取り寄せたりして、バルコニーのプランターで育てたり、庭に撒いて育てることもできます。シソは1年草です。

海苔
海苔は海藻を原料としているので、カルシウムやミネラルや食物繊維が豊富です。そのほかにも、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンB、タンパク質などがバランスよく含まれている優れた健康食品です。海苔の食物繊維には整腸作用があり、糖尿病や大腸ガンの予防にも効果的です。海苔のビタミンB1、B2は疲労回復に効果があり、鉄分は貧血予防、カルシウムは骨粗しょう症を防ぎます。さらに血液・血管の健康維持に重要なEPA(エイコサペンタエン酸)が豊富です。海苔に含まれる成分タウリンは中性脂肪を減少させるなど生活習慣病の予防にも効果があります。海苔2枚で子供の1日のビタミン必要量をカバーすると言われています。これほどの栄養素がある海苔は、是非和食の食卓に取り入れたいものです。

次回は『アンチ・エイジング』をテーマに取り上げる予定です。
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第六回 和食の薬味 Ⅰ

これまで香辛料をテーマとして胡椒とショウガについて詳しくお伝えしてきました。香辛料は海外からもたらされましたが、日本では昔、生薬として漢方薬の材料として使われたほかは、一般的にはあまり使われませんでした。それは江戸時代ごろの日本人は肉食ではなかったことと、発酵調味料を使用していたため香辛料の需要が少なかったことにあります。
今回は香辛料の枠を広げ、江戸時代頃から登場した日本独特の薬味についてお知らせします。
刺身に付くおろしわさび、冷奴やそばについてくる刻みネギ、天ぷらに欠かせない大根おろしなど、和食の食卓に薬味はつきものです。薬味がなくて何か物足りないと感じた経験はないでしょうか?

薬味が使われ始めたのは江戸時代頃から

江戸時代の初めにはうどんが日本人の好物となったようで、そのうどんに薬味が使われるようになりました。ただし今のように長ネギや七味唐辛子ではなく、当時の薬味は胡椒や梅干し、大根、味噌、醤油と記録されています。醤油は江戸時代前期に現在の千葉県の野田や銚子で作られ江戸へともたらされ、大都市江戸から全国へ広まりました。現在では味噌や醤油は調味料に分類されていますが、初めは薬味だったわけです。では当時のうどんの調味料はなんであったかというと、鰹の煮汁いわゆる「だし」でした。また当時そばの薬味にはすでにわさびが使用され、江戸時代から出てきた寿司にも風味と鮮度を保つためにわさびが使われていました。

薬味の役割・料理との関係

薬味は加薬とも言い、日本料理に用いる香味料です。出来上がった料理に添えて香りや風味を増し、彩を加え、食欲増進に役立ちます。またその香りと成分が肉や魚などの臭みを抑制し、味をまろやかにします。「薬味」という表現からも「薬膳」と同様に、体を温める、消化を促すなどの健康増進の薬効も大事な要素になります。殺菌作用のある薬味は食材の腐敗を防ぎ食中毒を予防します。また薬味と食材の相乗効果で栄養が吸収されやすくなります。
前述したように、焼き魚に大根おろしなど、料理と薬味の組み合わせというのがあります。それは食材と薬味の持つ薬効を理解した先人の知恵から、最適な組み合わせが代々伝えられてきたからです。
また薬味の調理はいずれも食事の直前に準備する必要があります。おろしたり擦ったり、刻んだりした薬味は時間が経つにつれ香りが薄れ、有効成分が揮発してしまうためです。例えば大根おろしは、おろした後15分ぐらいで食べないと有効成分の効果がなくなってしまいます。

薬味の種類

薬味の食材には植物性の野菜と果物の生鮮品と乾燥品、動物性のものは鰹節、桜エビなど乾燥水産品などがあります。また海藻のノリも薬味の一つです。
1.野菜類:主に葉や茎の部分を使い、大抵は生のまま水洗いしたものをそのまま刻んで使います。野菜類の薬味は緑色の鮮やかなものが多く彩りを添えるにも一役買っています。主なものは、長ネギ、玉シソ(青ジソ)、三つ葉、みょうが、ニラなど。
2.柑橘類:柑橘類の果実と果汁は爽やかな芳香が特徴で、料理に風味をプラスしてくれます。主なものは柚子、レモン、ライム、かぼす、スダチなど。
3.根菜類:生のまますりおろしたり、刻んだりして使います。しょうが、わさび、大根、玉ねぎ、ニンニク、ホースラディッシュなど。しょうがやわさび、ニンニクなどは乾燥させて香辛料としても使われます。
4.種子類:乾燥させた状態で使いますが、脂質を多く含むため多く使うとしつこくなります。ゴマ、ピーナッツ、クルミ、松の実など。
5.海藻類:乾燥させて切ったり揉んだりして使います。海苔、青海苔など。
6.動物性のもの:削りぶし、桜エビ、チリメンジャコなど。

薬味の効能:スイスで手に入る食材を使った薬味

長葱(ネギ)
長ネギには、食欲増進、血行を良くし疲労物質である乳酸を分解、新陳代謝を活発にする作用があります。強力な殺菌作用もあり、風邪の予防・治療に役だち、また咳を鎮めます。解毒作用、発汗作用、抵抗力アップ、不眠改善の効果などもあります。
種類は関東で多く食される白ネギと関西で多く使われる青ネギがあります。栄養的には、太陽の光をたくさん浴びて育った青ネギの方が白ネギより栄養成分が多く含まれています。特にビタミン、ミネラルについての差は大きく、ビタミンCは約4倍、ビタミンAは100倍以上になります。
しかし、白ネギに含まれているピリッとした刺激臭は硫化アリルという物質で、硫化アリルの一つアリシンは食欲を増進したり、消化器系の働きを高めたり、血行を良くするという効果があります。硫化アリルは、玉ねぎやニンニクなどにも同様に含まれています。

次回は、スイスでも手に入る和食に合う薬味をさらにいくつか取り上げたいと思います。
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第五回 生姜(ショウガ)Ⅱ

引き続き生姜のお話です。今回は、冷え性に良く効く「ウルトラ蒸し生姜」の作り方、使い方、注意事項等(一度作っておけば毎日の生活の中で簡単に冷え予防ができます)、また一般に知られている生姜の効能についてお知らせしたいと思います。

作り方
1)皮をむかずに、繊維ラインに平行にスライス(厚さは1~2ミリ程度)
  ・ラインに垂直に切ると繊維が毛羽だち、食感も見ためも悪くなってしまう
  ・Bio生姜がお勧め(ビオショップ、または大きいミグロにある)
2)重ならないように並べてスチーマーや昔ながらの蒸篭(セイロ)で、またはオーブンに
  お湯の入ったプレートをいれて蒸す
  ・80℃、80%の湿度で加熱するのが、ショウガオールが一番増え易く風味も良い
  ・自動的に湿度調整のできない器具は、卵料理感覚で100℃以上にならないよう調節す
   る(オーブンなら下火だけでプレートの湯気を立たせ、生姜を入れてから上下80℃
   ~100℃に保つ。セイロは湯気が立ったら弱火にし、蓋に箸ばさみをする)
  ・ニオイで蒸し上がりを判断
   ①初めはレモンのような柑橘系の香りがする
   ②30分経過→芋っぽい甘い香り
   ③黒味を帯びたらOK
  ・電子レンジや圧力鍋利用では温度が高くなりすぎるので効果が期待できない
3)乾燥
  ・天日(ビタミンDも取れてお奨め)なら1日、室内なら1週間干したら出来上がり
  ・野菜果物乾燥器(Dörrapparat)やオーブン(80℃位)で、パリパリになるまで乾燥
   させることも可
  ・密閉容器やクッキー用のセロファンの袋等に入れると3ヶ月くらい持つ
  ・乾燥生姜をミキサーで粉末状にすることも一案。手軽にスープに、おかずに、
   スムージーに、ココアに、昆布茶に、何にでも振ったり入れたりできるので、
   『お手軽冷え取り』ができる

簡単でおいしく飲める「ウルトラ蒸し生姜紅茶」
 紅茶に1~2切れ入れるだけ。常飲すると、身体を温め万病の予防・改善になります。
ただし…
・一日5~6杯くらいまでに抑えましょう。ジンゲロールの辛味は刺激が強いので、胃腸の弱い人はも ちろん、健康な人も、むやみに取りすぎないことです。
・ウルトラ蒸し生姜紅茶は冷蔵保存をしてはいけません。体を温めるショウガオールは冷えると水の成分と結びついて、元のジンゲロールに戻ってしまうのです。つまり、加熱生姜を既に入れてしまった紅茶を冷保存すると、それを短時間温め直しても体を冷やすことになります。これは、最近の研究で明らかになりました。
・ジンゲロールに戻るには水が必要なので、乾燥したショウガだけなら冷やしても大丈夫です。しっかり水気を飛ばして、パリパリ折れる位乾燥したものなら冷凍保存することもできます。これはカビる心配がないので便利です。

 これらは特に冷え性改善や冷え防止対策ですが、この他にもウルトラ蒸し生姜には次の効果があります。(乾燥のみの生姜=ウルトラ生姜も、ウルトラ蒸し生姜より効果は低いが利き目はある。日光乾燥、特に夏の陽射しなら最適で、蒸すのが面倒な場合は、これだけでもかなりの効果が期待できる。当会々員経験済み)

  抗酸化作用、疾病予防効果
・脳内の慢性炎症を抑えたり神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを良い状態
 に保って、認知機能の低下を防ぐ
・アンチエイジング、美容効果
・ストレス緩和、筋肉痛緩和、動脈硬化予防、悪性腫瘍予防、消炎・鎮痛効果、
・花粉症(アレルギー)対策

  ダイエット効果、メタボ予防
ショウガオールを摂ってから有酸素運動(ウォーキングやアエロビック等)をすると体脂肪が分解され筋肉で消費されやすい形になるので、体脂肪を効果的に減らすことができる(ただし、いくら生姜をとっても、運動しないと脂肪はあまり減らない。ウォーキングのような軽い運動で充分なので、定期的に!)
『1回1gを限度』に1日数回が目安。健康な人には、2~3グラム、10片位。

 ここで最後に、生姜の効能を簡単にまとめてみました。特にこれからの季節に役立てられたらと思います。

1.解熱、解毒、発汗作用、咳止め、吐き気止め、健胃腸効果
〔風邪、下痢、便秘・主にジンゲロール(生の生姜に多い)の働き〕
2.殺菌作用、消臭作用 
〔生の食品等・主にジンゲロールの働き〕
3.血流改善、抗酸化作用、体脂肪分解
〔冷え性改善、疾病予防効果・主にショウガオール(100℃以下の加熱・乾燥生姜に多い)の働き〕

次回は、香辛料の枠を広げて和食独特の薬味について見ていきたいと思います。
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