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第三回 胡椒(コショウ)



 

胡椒は、『同じ料理に三度使う』と言われるほど用途の高いスパイスです。歴史も非常に長く、世界的にも広範囲に知られています。古くは医薬品として用いられたことが分かっていますが、日本でも奈良時代に遣唐使を通じて持ち込まれ、舶来製薬として使われました。(香辛料シリーズ第一回参照)



 胡椒のピリッとくる辛さは魅力的で、まもなく薬用としてだけでなく香辛料の王としての地位も確立していきました。既に古代ローマ時代から金と同じように高値で扱われ、その保有量が権力と財産の証となりました。中世では、貴族たちが料理に胡椒や当時人気のあったスパイスをふんだんに使い、いかに自分が金持ちで気前が良いかを示したのでした。中世ヨーロッパの『宮廷料理』や『高級料理』は、香辛料を多量に使って食材そのものの味を感じさせない、日本人の味覚から見たらまったく反対のものだったといえます。
 日本で胡椒が一般に使われるようになったのは、江戸時代ごろからです。オランダ経由で入荷されました。今では胡椒は和食のイメージには繋がりませんが、江戸前半にはうどんには欠かせない薬味でした。しかし江戸後期になって七味唐辛子がお目見えし、以来『うどんに胡椒』は完全に忘れられていきました。



胡椒の種類



 胡椒の種類はいろいろありますが、みな同じ胡椒科のコショウから作られます。熟した実は赤色です。


  • 黒胡椒(ブラックペッパー): 実が熟する直前に収穫、果皮ごと天日や機械で乾燥させたもの。赤みがかった粒も、乾燥させると真っ黒になる。辛味も香りも強い。肉料理やスープ、料理のアクセントに使う。

  • 白胡椒(ホワイトペッパー): 完熟した実の赤い皮をむいて乾燥させたもの。黒胡椒よりマイルド。魚料理やシチューなどの煮込み料理に適している。

  • グリーンペッパー: 日本人には歴史が浅いため、『緑胡椒』とはあまり言わない。まだ緑の、未熟な実を乾燥させないで塩漬けや酢漬けにしたもので、香りは弱いが辛味は強い。柔らかさが残っていて、ステーキソースなどで粒のままで食される。

  • 乾燥グリーンペッパー: 未熟な実を、フリーズドライ等の特殊な方法で急速乾燥させて、緑を残したもの(普通に乾燥させると黒胡椒になってしまう)。香味辛味ともマイルド。ホールで、または胡椒挽き(ペッパーミル)で粉として使用。

  • ピンクペッパー: 熟した胡椒の赤い実を、そのまま塩漬けにしたもの。彩として添えることが多い。

  • 乾燥ピンクペッパー: 熟した胡椒の赤い実を、機械で短時間に乾燥させたもの。ホールで、または胡椒挽き(ペッパーミル)で粉として使用。


 ピンクペッパーは上記以外に2種類の違うものが、同じ『ピンクペッパー』という名前で呼ばれ混同されています。ひとつはコショウボクの実で、苦味と胡椒のような香りがありますが、辛味成分に欠けます。もうひとつは西洋ナナカマド(サンショウモドキ)の実で、酸味と渋みがあり、鹿料理によく使われます。
 ピンクより赤に近いものもあり、日本ではレッドペッパーと呼ぶこともありますが、英語でレッドペッパーは唐辛子(Peperoncino)のことです。



胡椒の効


  1. 胃腸を温めて調子を整える(消化不良、嘔吐下痢腹痛などの症状に効果的)

  2. 食欲増進、栄養吸収の促進、他の成分の吸収率を高める効果

  3. 解熱(発汗)、鎮痛・鎮痙作用

  4. 血液の循環を促す(冷えの改善、筋肉の凝り、手足の痛みと疲れ対策)

  5. 強力な殺菌・抗菌、消毒作用 (肉などを長持ちさせる)

  6. 新陳代謝の活性。辛味成分のピぺリンには強い抗酸化作用があることから、近年ではアンチエイジングやダイエットのサプリメントにも配合


次回は生姜についてまとめてみたいと思います。根菜は身体にいいと昔から言われていますが、生姜は野菜のように一度にたくさんは食べられません。それだけ効能も縮小集中されているようです。




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