<   2014年 07月 ( 1 )   > この月の画像一覧

食用油シリーズ

第三回  油と健康



私たちの体にとって油(食用油)は、細胞膜やホルモンの生成などになくてはならない重要な栄養素です。しかし、摂り過ぎや摂り方のアンバランスは私達の健康に悪い影響を与えてしまいます。また、植物油というだけで体に良いと言われてきましたが、抽出方法や調理の仕方によっても健康に悪影響を与えます。特に最近ではトランス脂肪酸、そして、多くの植物油に含まれるリノール酸の過剰摂取が問題になってきています。


さて、このトランス脂肪酸とはどんなものなのでしょうか?

植物性マーガリン、植物性ショートニング等の主な原料は言うまでもなく植物性油脂です。植物性油は一般に常温では液体ですが、水素添加という方法で固体に変えています。この過程でトランス脂肪酸が大量に発生してしまうのです。水素添加とは120度から210度の高温、高圧の中で水素ガスを反応させる方法で行います。このとき、ニッケルや銅を触媒として使うため、製品の中に金属触媒のカスが残ってしまう恐れもあります。マーガリンを製造する過程で部分水素添加を行うと、片方の水素が反対の方向に移動「トランス」します。こうなると、飽和脂肪酸とどことなく似た、できそこないの飽和脂肪酸のような、いびつな形になります。これが、「トランス脂肪酸」です。マーガリンやショートニングなど自然界には存在しない不自然な油はバターと違いカビも生えず、虫やネズミ、ゴキブリさえも寄り付きません。その構造がプラスチックに似ていることから「食べるプラスチック」、「異変脂肪」、「狂った脂肪」などと呼ばれています。

ショートニングはさくさくとした歯ごたえを簡単に出せるため、パンやスナック菓子、揚げ物、クッキーまたクラッカーなどの加工食品に幅広く使われています。その他、ケーキ、チョコレート、ドレッシング、マヨネーズ、アイスクリーム、コーヒーフレッシュ、カップラーメン、ポテトチップスなど、トランス脂肪酸はあらゆる加工食品に含まれている可能性があります。また、現代の多くの食用油では日持ちを良くするために、化学的な技術を使い強引に水素をくっつけています。

自然界に存在しない不自然な構造をしたトランス型の脂肪酸は、体内に入るとなかなか代謝できず、そのまま内臓脂肪として蓄積されてしまい肥満の原因になるといわれています。また、肝臓にダメージを与え、体内コレステロールのバランスを崩して心臓病や糖尿病のリスクを高めたり、細胞膜の構造や働きを不安定にし、体内で大量の活性酸素を作りだして老化やガンの原因になるといわれています。トランス脂肪酸が脳に及ぼす障害として認知症などもあげられています。

不自然な油「トランス脂肪酸」はEU諸国やアメリカなどで規制されています。近年日本でも規制の動きがでています。スイスでは2008年から規制され、100グラム当たり2グラム以上のトランス脂肪酸を含んだ油脂の国内流通が禁止されています。

脂質は人間にとって炭水化物(糖質)に次ぐ重要なエネルギー源です。体内に糖質が少なくなると、脂質からエネルギーを補います。脂質は糖質の約二倍のエネルギーを供給する効率の高い燃料源です。また、細胞膜の生体膜を形成したり、体内で太陽の光を利用してビタミンDを合成したり、脂溶性のビタミンA, D, E, Kの吸収を助けたり、体温を保つなどの働きをします。このようにとても重要な栄養素ですが、現在の食生活ではリノール酸(オメガ6)の摂り過ぎが問題になっています。コーン油、大豆油、ひまわり油、紅花油、綿実油など市販されている植物油のほとんどがリノール酸だからです。

リノール酸(オメガ6)の摂り過ぎは、体内のホルモンのバランスを崩し、免疫の乱れや高血圧、アトピー性皮膚炎や花粉症、喘息などのアレルギー疾患との関連があると言われています。その他、肝臓の慢性的トラブル、関節炎に似た諸症状、心臓や循環器系の悪化症状、脳の細かい血管の破損、腕・脚の感覚の不能とちくちく痛みなどの症状との関連性が最近ヨーロッパの医学界で知られています。リノール酸(オメガ6)とαリノレン酸(オメガ3)の理想バランスは、1~4対1が良いといわれていますが、ほとんどの現代人のオメガ6とオメガ3の食事バランスが10対1、あるいは50対1ととんでもない比率になっており、さまざまな現代病を引き起こす大きな原因だと言われています。

αリノレン酸(オメガ3)には血液を固まりにくくする、血管を拡張し血圧を下げる、炎症を抑えるといった働きがあり、また脳の神経細胞が特にオメガ3を多く必要とすることが知られています。オメガ3を十分に摂ると脳を落ち着かせ気分を高め集中力を高めます。また不足すると攻撃的・注意欠陥障害・アルツハイマーや記憶の障害が起こりやすくなります。このようなことから、日本の厚生労働省も日本人の食事摂取基準についての中で、亜麻仁油(フラックスオイル)、しそ油(エゴマ油)のようなオメガ3系オイル(n-3系脂肪酸)を増やすべき栄養素として推薦しています。

さて最後にオレイン酸(オメガ9)です。オリーブ油には、オレイン酸が70~80%も含まれています。オリーブ油を日常的に利用している地中海沿岸の人々が、かなり多くの脂肪を取っているにもかかわらず、動脈硬化などの心疾患が少ないことで注目されるようになりました。オレイン酸の多い調理油は過熱しても酸化しにくい上に、オメガ3の働きを邪魔しないことが知られています。
良い油を選ぶには、コールドプレス、無農薬で化学肥料を使っていないオーガニックのもの、栽培した農園で搾油、瓶詰めされたものが良いでしょう。

(参考資料:「病気がイヤなら「油」を変えなさい!」(山田豊文著)、インターネット他)

     #########################


新刊「新・わかるスイスの年金制度」   
ー是非手元におきたいハンドブック(2011年 日本語解説版)
      好評発売中! 

本の発送の際、日本・スイス社会保障協定(2012年3月発効)に関する概要文も同封しております。                   

定価 一冊38フラン(+ 郵送料)           d0212541_16584310.jpg

予約お申込は  sjlifestyle@excite.co.jp  


お名前、ご住所、代金の請求先(ご住所と異なる場合)
 ご注文の冊数をご明記ください。

お支払い方法  本を郵送の際に、振込用紙を同封いたします。
[PR]