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アンチエイジングについて

第六回 アンチエイジングと腸内細菌(1)


腸内細菌と聞くとアンチエイジングには関係ないように思われませんか。ところが最近の研究で腸内細菌の働きが多岐に亘り、私たちの健康に関与していることが分かってきました。腸内細菌は食物の消化吸収だけでなく、免疫やアレルギー、そして美肌にも影響を与えます。まさに腸はアンチエイジング対策への重要な臓器として注目され始めています。

腸にはこれまで解明されているもので500種以上の細菌類が棲み、その数は100兆個と言われていましたが、今では1000種の細菌類が9000兆個もあるというデーターが出ているほど膨大なものです。その多くが大腸に棲み、小腸にはおよそ1000万個が棲んでいると言われています。腸壁にびっしりと棲みついている細菌類を見ると、その様子が花畑さながらであることから「腸内細菌フローラ」とも呼ばれています。フローラと呼ばれている腸内細菌達は常にせめぎ合い、「勢力争い」をしながら実に様々な働きをして私たちの健康に貢献しています。

その働きとして

 1.食べ物の消化と分解を助ける

 2.腸の蠕動運動を促進させ、便通を良くし脂肪の吸収を抑える

 3.さまざまな酵素を分泌し、代謝や消化吸収を促進する

 4.代謝成分を「えさ」として取り入れリサイクルする

 5.便の形成(便の約80%は細菌類の死骸)

 6.有害物質の解毒作用を助ける

 7.ビタミン類やホルモンを合成する

 8.必須アミノ酸を合成する

 9.免疫機能を維持し活性化する

等々が挙げられます。つまり、腸内細菌は食べ物の消化や分解を助けるだけでなく、ビタミンやホルモンを合成したり、免疫機能を維持し活性化するなど私たちの健康にとても有益な働きをしているのが分かります。腸内細菌が合成するビタミン類にはビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、ビオチン、葉酸、ビタミンK、パントテン酸があります。これらビタミンB群は神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンの合成に欠かせないとても重要なビタミンです。また細胞の代謝やタンパク質を作るためにも必要なことから、アンチエイジングへの働きが期待できます。

さて、セロトニンは、アンチエイジングに欠かせない神経伝達物質の一つです。セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれ、その90%近くが小腸などの消化管に分布しています。「喜びや快楽」を司るドーパミン、「恐怖や興奮」を司るノルアドレナリンなどの働きをコントロールし、ストレスに強く、安定した精神状態を作り出すので、幸せが感じやすくなるなどの働きがあります。また脳内で記憶や学習に関する働きをする海馬への作用があり、仕事や勉強、記憶力をサポートします。その他セロトニンには抗重力筋という筋肉を強化する働きがあります。抗重力筋とは、姿勢を支える筋肉で背中や腰、お尻など様々な部分にある筋肉です。また、顔では目の周りや頬にある筋肉もその一つです。セロトニンが抗重力筋を強くすることで背筋の伸びた姿勢を保ち、顔のたるみを予防するアンチエイジング効果が期待できます。セロトニンが不足するとうつ病や情緒不安定、不眠または過眠、原因不明の体調不良、太りやすくなる、心身共に疲労が蓄積していくため老けやすくなる、など様々な症状が現れます。

ところで、気分調整やアンチエイジングには欠かせないセロトニンは、日常生活の中でもちょっとした心がけでその分泌量を増やすことができるのをご存知でしょうか。

1. 太陽の光をよく浴びる 

2. 生活のリズムを整える

3. 栄養バランスのとれた食事をする。中でもセロトニンを作る材料となる必須アミノ酸の一種「トリプトファン」や分泌を促すビタミンB6を多く含む食品をとる

(赤身の魚、バナナ、チーズ等の乳製品、ナッツ類、豆腐などの大豆食品、キャベツ等)

4. 発酵食品、海藻類などを多くとり腸内環境を整える

5. リズム運動、ウォーキング、散歩、水泳などの有酸素運動を楽しんで続ける

(競技性の高い運動はかえって脳が疲弊してしまうのであまり向いていない)

6. よく笑う!よくしゃべる!好きなことをする!スキンシップで安心感を得る!

(セロトニン神経が活性化する)

7. ときめきを増やす(好きな映画、趣味をする、素敵なお花を飾る等)

8. 深呼吸をする

9. 首のストレッチ(首を前後左右にゆっくり動かすと、脳の「ほうせん核」が刺激されセロトニンの分泌が促される)

いかがでしょうか、今からすぐにでも出来そうなものばかりですね。

次回のテーマは引き続き「アンチエイジングと腸内細菌(2)」で『腸内環境』についてまとめてみます。