アンチエイジングについて
第五回 スーパーフード(3)
スーパーフードの最終回です。スーパーフードは活性酸素の悪影響を抑制してくれる抗酸化物質を大量に含むと言われ、アンチエイジング対策、健康保持に最適です。
11.バナナ
一年中手軽に食べられる抗酸化成分を多く含むフルーツと言えば「バナナ」です。具体的にはβカロチン(βカロテン)、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール類などの成分を含み、細胞の劣化・老化を予防してアンチエイジングに役立ちます。またカリウムが豊富で、血圧を上昇させるナトリウム(塩分)を尿中に排泄する働きがあり、むくみの解消につながるだけでなく、高血圧・動脈硬化・脳梗塞などの生活習慣病の予防が期待されます。骨や歯の形成を助けるマグネシウムも豊富で、骨粗鬆症の予防に効果があります。更にバナナには2種類の食物繊維が含まれていて、整腸作用があり便秘解消に役立ちます。
バナナはその熟度によって効能が変わります。青めのバナナは整腸効果があり、黄色のバナナは美肌・アンチエイジング効果、更に完熟して茶色い斑点のあるバナナは、免疫機能を強化し胃潰瘍の抑制効果もあると言われています。
12.チアシード(チア種子、ドイツ語で Chiasamen)
チアシードは、メキシコからグアテマラが原産のシソ科の植物チアの種です。古代マヤ民族の言葉でチアは「力」を意味し、その時代からパワー食として食されてきました。栄養成分の含有量は圧倒的に高く、タンパク質、ミネラル(カルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉄分など)、ビタミン類、オメガ3脂肪酸(αリノレン酸)、9種類の必須アミノ酸、食物繊維などが豊富に含まれています。これらの栄養素により、生活習慣病の予防、抗酸化作用、ガンの予防、美肌・アンチエイジング効果、うつ症状の予防・軽減、アレルギー症状の改善などの効果が期待できます。
チアシードは水やミルクなどで戻して食べます。水で戻すと10倍くらいに膨れます。その時にチアシードの周りにできたゼリー上のものはこんにゃくにも含まれている「グルコマンナン」という食物繊維で、便秘予防、ダイエット効果もあります。
(注:チアシードは水分を吸収して膨張する性格があるため、十分な水分と一緒に摂るよう、包装パックに記載されています。また欧州連合内では新規食品としてのEU規則により、1日分の摂取量は15g(約大さじ1杯)までと決められていますので摂り過ぎに注意が必要です。)
13.アーモンド、クルミなどのナッツ類
アーモンドは、ビタミンEとポリフェノールが豊富な上、オレイン酸の含有量が70%と高く、アンチエイジングに欠かせない食品といえます。特にオレイン酸はコレステロールを減らす作用がある不飽和脂肪酸の中でも最も安定した脂肪酸であるため、食べても脂肪がつきにくいと言われています。スイーツやおつまみとして食することで健康を維持することができます。
クルミは抗酸化作用が強いと言われているナッツ類の中でも、とりわけ抗酸化物質とオメガ3脂肪酸を豊富に含んでいます。特にαリノレン酸は血液をサラサラにする働きがあり、結果として高血圧や動脈硬化、血栓を予防・改善します。心臓や脳に良いだけでなく、美容やアンチエイジングにも重要な栄養素です。
毎日一握りのナッツ類を食べることは寿命を延ばす効果があり、またガンのような命に関わる病気で死亡するリスクが低いとも言われています。
和食のスーパーフード
1. 納豆
納豆は日本の伝統的食品で、柔らかく煮た大豆に納豆菌を繁殖させて作ります。原材料の大豆が持つ豊富なアミノ酸や、大豆イソフラボン、大豆サポニン、ビタミン、ミネラルが豊富な上に、納豆菌の発酵過程でビタミンB群やビタミンK2などがプラスされて素晴らしい健康食品となります。それが医学的に実証されたのは、1980年代に納豆菌(ナットウキナーゼ)という酵素に血栓を溶解する効果があることが発見されてからです。ナットウキナーゼには血栓融解作用だけでなく、血液をサラサラにして流れを良くする効果があり、また腸内の善玉菌を増やし悪玉菌を減らす整腸作用もあります。納豆菌はカルシウムの吸収に必要な「ビタミンK2」を作るため、納豆を日頃食べていると骨粗鬆症を防ぐことができます。他にも美容ビタミンと言われるビタミンB2とビタミンEも含み、老化を防ぎ若返りに貢献してくれます。まさに世界に誇る日本の健康食品といっても過言ではありません。
2. 味噌
味噌は大豆を発酵させて作りますが、発酵することで大豆に含まれる少量のアミノ酸やビタミン類が増えるだけでなく、発酵前にはなかった様々な栄養成分も作られます。
味噌に含まれる栄養素には、タンパク質、イソフラボン、ビタミンE、ビタミンB、ミネラル、ペプチド、サポニン、酵素、食物繊維、リノール酸などがあります。ビタミンは全般的に美容にいいと言われていますが、その中でも特にビタミンEはアンチエイジングビタミンと言われ、体の老化につながる細胞の酸化を予防してくれます。また血管の健康を保ち動脈硬化などの病気を予防する働きもあります。イソフラボンは女性ホルモンのエストラゲンに似た働きがあると言われていますが、女性ホルモンの活性を高め美容に効果のある成分として昔から注目されています。サポニンとリノール酸は血中コレストロールの上昇を抑制する効果で知られ、リノール酸はまた美肌効果も期待できます。
味噌や納豆をはじめとした大豆の発酵食品は、タンパク質が吸収しやすい形になっていて、世界でも長寿食として研究が進められ注目されています。
3. 緑茶
緑茶は昔、漢方薬として中国から持ち込まれたのが始まりで、古くからその薬効の高さは注目されています。緑茶の持つ渋み、苦味は、ポリフェノールの一種の茶カテキンのせいで、このカテキンに健康に優れた様々な成分が含まれています。まず殺菌作用に優れ、インフルエンザ菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、ピロリ菌や大腸菌O157などの有害な菌に対して殺菌力を発揮し、食中毒の予防になります。また虫歯菌にも効果があります。日本では食事中や食後によくお茶を飲みますが、それは理にかなっていると言えます。このほか体脂肪や血中コレステロールを低下させ、血糖値上昇を抑える効果もあり、動脈硬化、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の予防につながります。また強い抗酸化作用により老化を遅らせ、ガンの発生を抑えるという報告もあります。緑茶にはカテキンの他にもビタミン類も豊富で、これらの効能をさらに強力にします。まさに緑茶はスーパードリンクというにふさわしい飲み物です。
スーパーフードはこのほかにもまだいろいろあります。関心のある方はネットなどで更に検索されたらいかがでしょうか。
次回はアンチエイジングシリーズの「腸内環境」についてお知らせしたいと思います。