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日本とスイスの間に社会保障協定が結ばれました

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新しく結ばれた日本・スイス社会保障協定について

2012年3月1日、日本とスイス間の社会保障協定が正式に発効されました。この協定が締結された背景には、近年国際的な人的交流が活発化し、国際結婚、就労、企業からの派遣などで、海外で暮らす日本人やスイス人が増加していることがあります。特に日本人の駐在員はこれまで、両国の社会保険に加入し、掛け金を二重に負担するなどの問題がありました。また日本で何年か働いてきて結婚してスイスに暮らすことになった日本人は、日本で支払ってきた掛け金を掛け捨てにするようなケースも多くありました。
ここで新しく締結された協定が日本人にどのような影響を与えるのかについてお知らせいたします。

対象となる年金制度は、日本は厚生年金(国民年金も含む)、スイスは第一の柱である老齢・遺族基礎年金(AHV/AVS)、障害基礎年金( IV/AI)のみです。第二の柱であるスイスの企業年金(ペンションスカッセ)は対象になりません。

スイスと日本の両方の年金制度に加入している日本人、スイスの年金制度に加入している日本人

1.これまでスイスの年金は、スイス国籍を持たない日本人は、スイス国内だけでしか受給できませんでした。協定発効後は、スイス国外でも年金(AHV/AVS)が受給できます。

2.日本の年金では、日本とスイスの年金支払い期間の通算が可能になります。
•日本の老齢年金を受給するには、原則として25年の年金加入期間を必要としますが、日本の年金加入期間だけでは25年に満たない場合、スイスの年金加入期間を足して計算することができます。
(例):
Aさんは日本で19年間年金に加入した後スイスに移住し、スイスの年金に10年間加入しています。
<協定発効前>:日本では25年の加入期間に満たないため、日本の年金の受給資格がありませんでした。
<協定発効後>:スイスの10年分も加算できるため、29年となり日本での受給資格を得ます。但し、日本の年金の給付額は日本で払った19年に基づいて計算されます。スイスは1年で受給資格が出るため、スイスで支払った10年間に基づいて支給額が計算されます。

* 協定締結前にも、例えば会社員などでスイスへ派遣された場合、「海外への転出届け」を出しておけば、空白期間として加入期間とみなされていました。また日本で何年か働いていて結婚してスイスに住んでいる日本人は、定年に達してから、日本に滞在していなかったことを証明する書類を提出すれば、空白期間と認められ加入期間の年金を受給できました。
協定発効後は、スイスの年金加入期間が日本での加入期間に加算されます。

•スイスの老齢・遺族基礎年金(AHV/AVS)は加入期間が1年以上あれば年金受給の資格を得るため、日本の年金加入期間を足し合わせて計算することはしません。
•スイスの障害基礎年金(IV/AI)は、年金加入期間が3年以上必要ですが、加入期間が3年に満たない場合は、日本の年金加入期間をスイスの加入期間に通算できます。

3.スイスの年金(AHV/AVS)を、日本の年金事務所で申請して、日本または海外で受け取ることもできます。同様に日本の年金をスイスで申請してスイスで受け取ることもできます。

•スイスの年金窓口で日本の年金の申請をすることができます。
協定に関するスイスの年金担当窓口は次の通りです。
老齢・遺族年金:ジュネーブにあるスイス年金局
(The Swiss Compensation Office in Geneva) www.zas.admin.ch
障害年金:海外居住者のための障害年金局
(The Disability Insurance Office for insured people living abroad) www.zas.admin.ch

•日本の年金事務所でのスイスの年金の申請は、受給発生の5〜6ヶ月前からできます。

•日本でのスイスの年金の支払い:月1回銀行送金により支払われます。支払いはスイスフラン建てで行われ、日本円に換算して振り込まれます。

* スイスの年金をスイス国外で受給する場合、年金額が小額であれば(通常年金の10%以下)は一時金で支払われます。


スイスに進出している日系企業の日本人駐在員、または自営業者としてスイスに滞在する日本人

1.日本とスイスの年金・医療保険制度のうち、どちらかに加入し、二重加入がなくなります。

•協定発効前は、派遣が終わって日本へ帰国した場合、日本でスイスの年金を受給することができませでした。そのためスイスで支払ってきた掛け金を払い戻してもらうという「還付手続き」を行っていました。発効後はこの制度がなくなります。そのかわり、スイスで掛けてきた期間に相応するスイスの年金を,将来定年に達した時に、日本であるいは海外で受給することができるようになりました。

•スイスへの駐在が5年以内と見込まれている場合は、日本の制度に継続して加入でき、スイスの制度への加入は免除されます。(5年滞在後の延長は1年以内に限って可能。)
すでにスイスで就労している場合は、発効日から5年以内に派遣が終了する見込みであれば、スイスの制度から免除されます。

•自営業者としてスイスに滞在する日本人も、スイス滞在が5年以内であれば、国民年金(第1号)、国民健康保険に継続して加入でき、スイスの年金制度や健康保険への加入が免除されます。

•駐在員でも自営業者でも、最初から5年以上スイスに滞在すると見込まれる場合は、スイスの制度に加入し、日本の制度は免除されます。

* スイスでは、年金の掛け金と失業保険の掛け金は一括して徴収されるため、スイスの年金制度への加入が免除されれば、失業保険制度への加入も免除されます。

2.二重加入の防止のための手続き

•スイスの社会保険制度の加入免除には、日本の年金事務所で「適用証明書」の交付を受けます。スイスの医療保険制度加入の免除には、スイスの事業主が、「適用証明書」の写しを州の健康保険当局に提出する必要があります。

•スイスに5年以上滞在すると見込まれる場合、日本の年金事務所に「資格喪失届け」を提出すれば日本の年金制度への加入が免除され、スイスの年金制度にのみ加入します。


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日本・スイス社会保障協定に関する詳しい情報、または各種手続きに関する詳細は日本年金機構のホームページをご参照ください。日本年金機構のホームページから各種申請書をダウンロードすることができます。ダウンロードのできない人は、日本年金機構から直接入手してください。

http:www.nenkin.go.jp/agreement/index.html
社会保障協定 日本年金機構 検索

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2.一般的な年金相談に関するお問い合わせ
(ねんきんダイヤル)
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