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スイスの医療制度 1

スイスの医療保険制度 (第1回)
 

今回より数回に渡り、スイスの医療保険制度についてスイス社会保険庁(BAG)のホームページの情報を中心にまとめてお知らせしていきます。


スイスでは健康保険への加入は義務付けられています。この強制保険としての『基本健康保険Grundversicherung』は、スイスに住む全ての被保険者に同じ高水準の医療を保証するものです。この基本健康保険でカバーされない部分に対しては『追加保険Zusatzversicherung』と呼ばれるものが設置されており、こちらは任意で加入できます。

 

健康保険会社 / Krankenkasse (独) / Caise d’assurance-maladie(仏)


スイスの健康保険は強制ですが、実際の業務は民間企業が行っています。現在のところ全国で94社ほどあり、利潤を追求せず、スイス内務省(EDI)から認可されなければなりません。基本保険の加入申請を受けた場合、その人の年齢、健康状態にかかわらず加入を受理しなければならないと健康保険法(KVG Krankenversicherungsgesetz)で定められています。



1.基本健康保険 / Grundversicherung (独) / l’assurance de base(仏)

加入が義務付けられている基本保険が保証する基本的な医療。
すべての人が誰でも同じ高水準の医療を受けることを保証します。



被保険者


基本保険に加入しなければならないのは
○国籍に関係なくスイスに居住するすべての人(子供も含め家族全員)
○3ヶ月、あるいはそれ以上のスイス滞在許可を持つ外国人
○3ヶ月未満スイス国内で労働する外国人で、外国で同等の健康保険に加

入していない人
○新しくスイスに居住する人
○スイス国籍あるいはEU(欧州連合)/ EFTA(European Fair Trade Association 欧州
自由貿易連合)国籍で、スイスで働き、EU加盟国、アイスランドあるいはノルウェーに居住する 人。(働いていない家族も含む)
○スイス国籍、あるいはEU/ EFTA国籍で、唯一スイスから年金を受給し、EU加盟国、
 アイスランドあるいはノルウェーに居住する人。(働いていない家族も含む)


★ 本人、あるいはその新生児が新規加入する場合、期限内(3ヶ月以内)に加入すれば健康保険会社は3ヶ月までさかのぼって医療費を負担します。入国あるいは出生から3ヶ月以上経ってしまった場合は追加料金を請求され、既に支払った医療費も負担されません。
 

★ EU加盟国、アイスランドあるいはノルウェーで健康保険に加入している人は、スイスでの加入義務はありません。また大使館、領事館員、国際機関の職員はその家族も含め、加入の義務はありません。



健康保険が国外でも有効なのは 

○ 一時的に外国にいる場合の緊急時(旅行中など)
○ スイスで保険に加入していて、EU / EFTA国内に住んでいる場合
○ 雇用主から一定期間スイス国外へ派遣された場合 (社員と働いていない家族も含む)
○ 留学、その他の理由で長期間外国に滞在する場合。



日本の健康保険との違い
 

スイスには日本の国民健康保険というような全国的な保険制度や、会社員の入っている職業別の保険会社というのはなく、認可をとった多くの民間企業が保険業務を担当しています。それぞれの会社が自社の掛金額を設定しており、被保険者は自分の希望する保険会社と契約し、それぞれの定める掛金を払います。フランシーズ(Franchise)と呼ばれる年間自己負担額を自分で決め(現在のところSfr.300~2500)、その額により掛金額は違ってきます。フランシーズが高いほど掛金は低くなります。フランシーズを超える分に対して、初めて90%の還付が受けられます。言い換えれば、フランシーズを300フランと決めた場合、年間300フランまでは100%自分で支払い、この額を超えた分に対して初めて保険がきき、10%の負担ですむということです。掛金額は被保険者の収入額に関係なく、雇用主に負担義務もありません。従って、外国系の会社などが社員を集合的に強制加入させている場合以外は、給料からも天引きされません。又、歯科医による治療費などは基本保険では一切支払われません。スイス居住者の全てが加入しなければならない基本健康保険は、どの保険会社に入っても同じ基本治療を受けられると法で定められています。毎年のように保険料が上がっているここ数年、特に収入の低い家計では大きな負担となっており(補助の出る場合もある)、少しでも掛け金の安いところを探して保険会社を換える人が増えています。

 

www.bag.admin.ch/kv/beratung/d/index.htm 

http://www.admin.ch/ch/d/sr/8/832.10.de.pdf等を参考にしました。

 

またこれは大まかな説明ですので、詳細は各州の担当局、保険会社に直接お問い合わせください。