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健康シリーズ 第七回 骨粗鬆症(こつそしょうしょう‐Osteoporose)4


骨粗鬆症の最終回です。


<骨を強くするためには>
1回目の<骨とカルシウムの関係>でお話しましたが、血液中のカルシウム濃度は常
に一定に保たれています。毎日の食事でカルシウムの摂取量が少ないと、骨の中のカ
ルシウムを溶かして血液中に補充するという体内調整が働きます。
又、カルシウムをたくさん摂った場合も血液中のカルシウム濃度はそれほど変わらな
い仕組みになっています。では余分のカルシウムはどこへ行くのでしょうか? 次の
3つの調整機能のいずれかが働きます。

1.腸管でのカルシウム吸収率を低下させ、それ以上カルシウムが体内に入ってくる
  のを抑えるようにする作用があります。

2.尿と一緒に排泄し、体内のカルシウム量を減らすように腎臓が働きます。

3.血液中の過剰なカルシウムを骨に結合させて、血液中の濃度を調節します。

骨のためには当然、尿に捨てられるより、骨や歯に蓄えられる方がよいに決まって
います。
血液中の余分のカルシウムを骨に蓄えさせるには、骨に体重並びに運動負担をかけ
ることが重要です。骨は負担がかかると強くなります。
ここでどのように体を動かすと一番効果的かと言いますと、何も運動をしない人よ
りは運動をしている人のほうが、また同じ運動でも水泳より陸上のほうが、陸上よ
り重量挙げのほうが、そして三流選手よりは一流選手のほうが骨が強いということ
です。つまり骨にかかる負担が大きいスポーツほど骨を頑丈にします。しかし、過
度の運動はホルモンの分泌を妨げ逆効果になります。
こまめに動く普段の生活が骨に一番よいのです。主婦は家事などを通して普段から
体を動かしていますが、散歩したり、庭仕事をしたり、買物には車を使わずに歩い
て行くなどしてより体を動かす習慣をつけることでさらに効果をあげることができ
ます。スポーツでは、縄跳び、ウォーキング、バスケットボール、バレーボールな
どがよいでしょう。年配者の場合、ウォーキングは一日7000歩程度、一回に長時間
歩くより、何回かに分けて歩いた方が膝にかかる負担が少なくてよいでしょう。

骨粗鬆症は一般には高年者の病気と言われていますが、高年になって突然になる病気
ではなく、若い時からの生活習慣に密接に関わっています。若い頃からしっかりとカ
ルシウムを摂り、適度な運動をして骨を丈夫にしておくことが大切です。

<骨密度検査(Knochendichtemessung/ Bone density test)>
体験談: 更年期症状として関節痛が起こった。家族に骨粗鬆症の者がいるため心
配になり主治医に相談し、病院で骨密度の検査を受けた。私が受けた検査はデキサ法
(DEXA法‐二重エネルギーX線吸収法)と言い、大腿骨頸部と腰部脊柱に照射したX線
をコンピューターで処理して計測する方法です。検査データとしてはもっとも正確で
信頼性が高いとされていますが、大掛りな設備を必要とするため検査は病院で行われ
ます。日本人の場合、東洋人の同年齢の平均値と比較します。50歳以上の女性の3分の
1ほどが骨粗鬆症と診断されるそうですが、幸い正常という結果でした。医者からこ
れまで通りの食事と適度の運動を続けるよう言われました。更年期を迎えた方で、
痩せている人や家族に骨粗鬆症の人がいる方には検査を受けることをお薦めします。
本人が希望して検査を受ける場合は、健康保険は効かず自己負担になりますが、検査
費用は100フランほどです。

参考までに、骨粗鬆症と似たような病気として、骨軟化症やくる病があります。骨粗
鬆症が骨の絶対量が減る病気であるのに対して、こちらは何らかの病因で骨組織への
カルシウム沈着障害をきたす疾患群で、この障害が骨端発育線閉鎖後の成人に生じた
場合を骨軟化症といい、小児に生じた場合がくる病で成長障害を伴います。食事や胃
腸障害によるカルシウム吸収の低下やDホルモン(日光浴の不足にもよる)不足が原因
となります。

骨粗鬆症について4回にわたってお知らせしてきましたが、今回をもちまして、
このテーマ並びに健康シリーズを終わります。